きたない心をキミにあげる。


うまく話せない。涙が止まらない。



私は圭太にキスしてもらいたかった。


ぎゅっとしてもらいたかった。



私のワガママで、圭太をこんなにも苦しめてしまった。


だって、彼はお兄ちゃんに助けられたことを悔やんでいたから。



その心につけこんだ自分が、今となっては憎い。



「実はね、お母さんから鬼みたいにメール来てて。今日は帰るね」


「待って」


「本当、大丈夫だから。そろそろ帰らなきゃって思ってたし。圭太は関係ないよ」



「でも……」



「ちゃんと家族と仲直りしてくる。じゃないと私も前に進めない。これは、私の意志だから」



そう伝えると、ようやく圭太は黙ってくれた。



足悪いんだから絶対に追いかけてこないでね、と伝え、私は彼の家を出た。



一通だけ、ラインのメッセージを送ってから。



どこまでも私は甘いヤツだ。



せめて、一緒にいることができないなら、

1人で抱えられないことを圭太には知ってもらいたかった。





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