カルマノオト
音楽ホールからは既にバンド演奏の音声が聞こえている。


ホールの外に仮設された喫煙所には、タバコを吸う数名の男子大学生の姿があった。




「ねぇ、彼氏ってどの子?」




なんとなくの風貌は話に聞いていたから知っている。




ゴールドに近い茶髪。


背が低くぱっちりとした目。




喫煙所の集団の中で一際目立っているその男子学生の視線は、真っ直ぐ私たちの方へに向かっていた。


きっと彼が、奏美の彼氏なのだろう。




「んー、あそこにいるヒヨコみたいな奴。」
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