カルマノオト
奏美らしい表現だ。


本当は大好きなのに、彼女はいつも、照れ隠しに自分の彼氏の事を茶化して話す。




ヒヨコのような小柄で黄色い髪をした彼は、タバコの火を消し私たちの方へ近付いてくる。




「遅かったな。

奏美の事だから、大学ん中で迷子になってるんじゃないかって思ったよ。」




冗談交じりにそう言った祐輔君を睨む奏美。


だけど、彼女がとてつもない方向音痴である事は私も知っている。




憎まれ口を叩いた後、祐輔君は自分の恋人の隣に立つ私の方へ視線を向けた。




「初めまして!

里衣さん……ですよね?

噂は奏美から聞いていますよ。」
< 28 / 100 >

この作品をシェア

pagetop