カルマノオト
「あっ……!!

その話は不確定だからまた後日でいいッス!

もうすぐFAbULOUSの演奏が始まるから、二人共、早くこっちへ。」




気まずい空気を読み取ったのだろうか。


誤魔化すかのように、一歩前に出て私と奏美を音楽ホールの中へ案内する祐輔君。




たしかに私は、昔から絵を描く事が好きだった。


しかし今では、趣味はおろか、誰かのために絵を描く事なんてきっとできないと思う。


高校時代から付き合いのある奏美は知っている。


上には上がある事を知って、それから私が自分の絵に自信を失くしてしまった事を。
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