カルマノオト
必死にもがこうとしても、背後の彼は私の身体を離してくれない。




傍から見ればきっと違和感はない。


そのくらい強い力で、私は彼に羽交い絞められるかのごとく抱き締められているのだ。


何の前振りもなく突然こんな目に遭うなんて。


彼との再会に期待をしてはいたが、こんな状況になる事はもちろん想定外だった。




強い力で抱き締められたまま、彼の指がゆっくりと私のフェイスラインをなぞる。


そのまま唇に触れる彼の人差し指。


触れ合うその場所だけは、ドキドキと脈打つように熱を帯びていた。




「今日は、君が僕の楽器になってよ。」
< 41 / 100 >

この作品をシェア

pagetop