カルマノオト
唯一自分からグラスを差し出したのは、私の左隣でジンジャーエールを飲む彼だけ。




恥ずかしくて、気まずくて。


視線を合わせられないまま、私は彼のグラスにカチンと自分のグラスを当てた。




「……サンキュ。」




グラスの当たる音が鳴り、彼は手元にある飲み物を自分の口元へ運ぶ。




すぐ隣という至近距離。


何気ない些細な事なのに、肩を並べて座る彼の声に反応して胸の高鳴りが抑えられない。




「あの……、MOTOさんは飲まないんですか?

お酒は……――――――」
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