カルマノオト
恐る恐る、隣でジンジャーエールを飲む彼に話し掛けてみた。




手の震えが止まらず、過度の緊張で身体がおかしくなっている。


それなのに私は、どうしてボトルワインなんか注文しちゃったのだろう。




「普段は飲むよ。

でも、今日は車で来てるから。」




そう返答し、私と視線を合わせずジンジャーエールを一口飲んだ彼。




脳裏に浮かんだのは、複雑なエンブレムの付いた赤いスポーツカー。


古い記憶の中にある彼の愛車はそんな感じのものだった。




「車、何乗ってるんですか?」
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