眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「それが……」

……私は、つい昨晩の会話をふたりに報告した。


「え?なつにぃ、もう一回いって」

「だから、なつにぃじゃなくて、夏生だって……」

「そこは大事じゃないから。
いま、やなこといったでしょ?」

晩ごはん食べながら、なつにぃの口から出たのは、聞きたくもないことだっ
た。

「……大事じゃないって、僕にとっては大事なのに。
だから、イヴは見回りになったから。
帰ってくるのは凄く遅いよ」

「なんで?どうして?
あれって当番だよね?
去年もやったのに!」

……見回りというのは。
週末とか、生徒が悪いことしてないか、街を徘徊して生徒指導することだ。

「ごめんね、ゆずちゃん。
でも、教頭先生のご指名だから。
断れないよ」

「……あの人、まだ疑ってるのかな……」

……教頭先生は私たちのこと、まだ疑ってる。
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