眼鏡とハンバーグと指環と制服と
徳川の秘宝展、だったと思う。

……夏生らしい。

「あの、ね?夏生?」

「なあに?ゆずちゃん」

「今日、指環……左手にしててもいいよね?」

「え、あ、そうだね。
誰にもたぶん、会わないもんね」

「……うん」

チェーンから指環を抜いて、左手の薬指に嵌める。
右手にいつもつけてる指環も、その上に。
自分からいっておいてなんだけど、……なんか恥ずかしい。

「僕もつけるね」

信号待ちのあいだに、指環を嵌めた夏生の顔は、真っ赤になってた。
きっと私の顔も真っ赤になってると思う。
まわりから見たら、どんなふうに見えてるんだろ?


太宰府にある、国立博物館にまず行った。

やっぱり、夏生は生き生きとしてる。

どれだけの知識がこのあたまに入ってるんだろ、と不思議になるくらい、展示
物の解説をしてくれた。
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