眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「……うん」

思わずぎゅっと服を掴んだら、抱きしめてくれた。
ちょっとだけ、泣いた。
やっぱり夏生の腕の中は、安心できて心地いい。


次の日は夏生が車を借りてきてくれたので、それでお出かけした。

……ちなみに。
夏生はペーパードライバーではない。

時々、亜紀ちゃんたちとお出かけするときとか、運転することもある。

それに車が空いてるときは気軽に貸してくれるし。

今日は流石にお正月で、おじさんちに行ってるはずだから、レンタカーを借り
た。

「ゆずちゃん。
その、博多には行くんだけど、あの、」

「国立博物館に行きたいんだよね?
いいよ、行っても。
映画は借りてもいいし」

「ありがとう!」

出発すると、夏生がおずおずと提案してきた。

……最近、国立博物館のCMが流れるたびに食い入るように見てたから、行き
たいのは知ってる。
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