眼鏡とハンバーグと指環と制服と
何度いわれても理解できなかったし、いまは両親がいたことは受け入れてるけ
ど、やっぱり記憶は少しもない。

「夏生?」

「ううん。
なんでもない。
ゆずちゃんは僕が守るから。
絶対に守るから、大丈夫」

「……どうしたの?」

「大丈夫。
大丈夫だよ……」

……何故か。
私を抱きしめる夏生の腕は。
不安そうに震えていた。
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