眼鏡とハンバーグと指環と制服と
お椀にお湯を注いで食卓に出して。
買ってきてくれたお弁当で晩ごはん。

夏生はいつも、唐揚げ弁当だ。
私はのり弁。

近所のお弁当屋さんののり弁は、おかずが数種類入ってるから、お得感が大好
きだ。

「そういえば、吉永先生となに話してたの?」

「あー、月原先生はもっと、本音と建て前を上手く使い分けるように伝えてく
れ、って」

「……どういう、こと?」

「吉永先生の奥さん、教え子なんだって。
だから、私たちのことに口出しする気はないって。
けど、夏生はいろいろ危なっかしいから、気になるみたい」

「そうなんだ。
吉永先生にはいろいろ力になってもらってるし、忠告はありがたく受けないと
ね」

「うん」

夏生がゆるく、ふふって笑う。
きっと、夏生はいまより少しだけ、気をつけてくれると思う。
私もその分、頑張ろう。

毎日城崎先生に睨まれて、楽しくない学校だけど。
連休明けは少しくらい、ましになるかもしれない。
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