眼鏡とハンバーグと指環と制服と
そのまま、机の上に置く。

婚約指環も出して、何度もケースをぱかぱかした。
夏生が私と、一緒にいるって証しの指環。
でも、もう持っていられない。
結婚指環と並べて置く。

手を繋いで駅まで行って。

……これで、夏生とはお別れ。

「いってらっしゃい」

「……いってきます」

……やだな。
行きたくないよ。

「ゆずちゃん?
早く行かないと、もう電車来るよ?」

いつまでも手を離さない私に夏生は怪訝そうだ。

……離したくない。
ずっと、一緒にいたい。

でも。

「うん。
いって、きます」

「いってらっしゃい」

夏生に見送られて改札を抜ける。
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