眼鏡とハンバーグと指環と制服と
……私が想像していたおじいちゃんと違う。
もっと、大先生みたいな人かと思ってた。

「まあいい。
これから満智子(みちこ)に、みっちり躾けてもらうからな」

「あ、はい。
……よろしくお願いします」

「おまえには武史のように、好き勝手はさせん。
……柏木。
話は終わった。
私は会社に戻る。
あとのことは任せた」

「承知いたしました」

たった五分くらいで、初めてのおじいちゃんとの面会は終わってしまった。
入れ替わりでやっぱり年配の女性が入ってくる。

「あなたが、武史さんの娘?」

「はい。
七尾夕葵、です」

「血は争えないものね。
あの女の顔にそっくり」

おお嫌だ、そういってその人は着物の袖で口元を覆った。


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