眼鏡とハンバーグと指環と制服と
……あの女、って誰なんだろ?
お母さん?
お母さんはそんなこと、いわれるような人じゃない。
……記憶はないけど。

なぜだかちょっとむっとした。

「まあいいわ。
明日からみっちり仕込んであげますから。
私も恥をかきたくないし」

「……はい。
よろしくお願いします」

「柏木。
早くその娘(こ)を連れて行って頂戴。
それから、用のあるとき以外、本宅に入れないで」

……まるで汚いものかのように手を振られて、部屋追い出された。

そのあと、本宅からかなり離れたマンションに連れて行かれた。

ワンフロアが全部、芝浦のもなんだそうだ。

私は今日から、ここで生活するらしい。

マンションには私と柏木さん、あとお手伝いの女性で岬さんの三人が住むとい
うことだ。

着いた途端に私に突きつけられたのは、……大量の問題集。

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