眼鏡とハンバーグと指環と制服と
「あなたには芝浦の家にふさわしい、大学に行っていただきます。
最低でも薬の基礎がわからなければ話になりません。
なので……」

そういって柏木さんが出したのは、全国的に有名な大学の、薬学部だった。

「そんなの無理です!
だって、地元の大学、しかも家政科志望だったんですから!」

「無理でもやっていただきます。
拒否なさるのでしたら、約束はなかったことに」

……そんなこといわれたら。
無理でもやるしかない。

「……わかり、ました」

「家庭教師として私がつきます。
早速、いまから始めます」

「……はい」

渋々、机に向かう。
最初は私の学力診断テスト。
はっきりいっていつも受けてる校外模試よりも遙かにレベルが高くて歯が立た
ない。

「まさかこれほどとは。
お話になりませんね」

「……すみません」
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