プロポーズ(第2話)
「え、なに?」
「いいから」
しかたなく絵のほうを向いた。
涼一があたしの左手を取る。
「本当は、展覧会を見たあとにしようと思ってたんだけど」
言いながら、あたしの左手の薬指に指輪をはめた。
「ちょ、ちょっと、なによ、これ。なんのつもり?」
うろたえたあたしの口調は、我ながらきつくなっていた。
「あ、ごめん。気に入らなかった?」
「まったく。なにやってんのよ」
「ごめん。怒らないで。悪かった。はずすよ」
涼一があたしの指から指輪を抜こうとする。