暁天の星
【那月】
"倖"
アキラから手渡されたそれに金で綺麗に、格好良く書かれた文字は、そう書いてあった。
「ナニコレ?」
「しっ!」
菫ちゃんがキョトンとした顔をアキラに向ける。
それはすぐに里香ちゃんによって掻き消されたけど。
「那月には、『倖』がいいなって思って。」
シアワセ?
「ねえ、どういう意味?」
体を乗り出してアキラに質問する菫ちゃんを、里香ちゃんは諭すように見た。
「わたしね、那月に幸せになってほしいって思ったの。」
どうして?
って突っかかった言葉は出てこなかった。
アキラの優しさと切なさを帯びたような笑顔を目の前に、僕は何も言えなかった。