暁天の星
「ただ単に、幸せという漢字にしなかったのは理由があって、『人偏に幸』でしょ?夏弥が幸せだと思える時に隣に大切な誰かがいてくれたらもっと嬉しいよ、わたし。」
優しく笑うアキラの顔を見た時、何だか心の奥を見透かされたような気分だった。
消せなかった母の顔が浮かんで、胸がズキンと痛んだのはきっと気のせいなんかじゃなくて。
心の奥にこびり付いたそれを、僕は無理に忘れることも、縋ることもできなかったから。
それでもどこかで気にしていてほしいと感じていたのも事実だけど。
ただ、一生忘れないと誓った温もりを体に刻み込んでおかなければ、この手から消えてしまうような気がして。
どうしても消せない顔が、いつか、ぼやけて、失くなってしまうのかな。
「夏弥が誰かに幸せを与えられるような人になってほしいの。大きな人に。」
幸せになりなさい、そう囁いた母の声を、アキラは上書きするように僕の傷口を塞いだ。
「大きな人…。」
「うん。簡単に見えて、本当は難しいことかもしれないけど。夏弥ならなれるよ。」
お前ならできる、その言葉に期待を持たせてくれたのはアキラのおかげだった。
僕はそんな人間になれるんだろうか。
でもね、誰かに幸せを与えたいと思えるような気持ちは、ここに居てくれた7人に教えてもらったんだよ。