暁天の星


「いいのいいの。寝てるし。晃こそ休めよ?」

「ありがと。でも今からウチの怪獣達に1日振り回されそうだな〜。」



案の定、晃の言う通りチビ3人に俺たちは振り回されることになる。



初っ端からライオンは混んでて見れなかったから、空いてる動物を攻めてみるけど空いてるってことはこいつらにはつまんない動物なわけで。



アイスが食いたいだとか、前が見えないとか、正におんぶに抱っこだ。




「那月。楽しい?」



そう声をかけることができたのは、アリクイを見てる時。


起きた妃那を里香が抱っこしながら動物を指差している。

妃那も2歳児なりに楽しそうだ。




「うん。楽しい。ありがとう、連れてきてくれて。」



糸のように細くした両目が、那月が本当に楽しんでいてくれてると思えた。


長い睫毛が那月の瞼に影を作る。





「僕、いつも羨ましかったんだ。」



不意にそう言う那月の言葉を俺はしっかりと受け取れていたかな。



「肩車。」



那月が呟いた。


真っ直ぐな瞳が映す先には、菫を肩車する晴都の姿。



「小さい頃からずっと。ずっとずっと羨ましいって思ってた。」



ふざけた菫が、晴都の髪の毛をがっしり掴む。



「おいコラァ!菫てめえ!」

「菫にてめえなんて言わないの!」



晴都の声に菫は残念そうに握っていた髪の毛を解放した。


里香に怒られている晴都も、やっぱり楽しそうだ。




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