暁天の星
【里香】
日が暮れてきた。
1日が終わろうとしてるけど、あたし達はまだ帰らない。
いつものことだけど、遊んで喋って騒いでるから遠出した感じはあんまりなくて。
休日ってこともあり混んでたからちゃんと見れた動物は少ない。
サイとパンダは見れたけど。
那月が見たいと言ってたライオンは後ろの方からチラッとしか見えなかったから、帰る前にもう一度ライオンの方へ行くことにした。
「どうしてナツはライオンが好きなの?」
ちょっと疑問に思ったことを聞いてみた。
「うーん…。」
あたしのくだらない質問に那月は一生懸命考えてくれて。
「強そうだからかなぁ。」
「百獣の王だもんね!」
こんなバカな返ししかできなかったけど。
それに笑ってくれたから何でもよかった。
人気が減って、ライオンの前は見晴らしが良くなってる。
「ライオン!」
「競争だ!」
ライオンまで走り出す菫と颯太。
その後を追いかけるリュウ。
那月は妃那を抱っこする晃とゆっくり歩いていて。
ああ、この光景が好きだな。