暁天の星


晃の言う通り、パンダに特に感動はしなかった。


本当にパンダ。それだけ。



見ても見なくても変わらず世界は同じように回るだろう。





「な?パンダだろ?」

「うん。パンダだね。」

「ああ、ダメだ。パンダパンダ言いすぎてゲシュタルト崩壊してきた。」



隣で笑う晃を見る。


その奥に並ぶいっぱいの笑顔。




「見てえ!パンダ!!」


菫ちゃんの嬉しそうな顔が眩しく見える。




「そうだね〜、菫見たかったんだもんね。」

「うん!すぅパンダ好き。」

「これでつまんねえとか言われたらはっ倒してたわ。」

「ハルはまたそういうこと言う〜。」




そんな会話に耳を傾けながら、寝転ぶパンダを見た。


太陽がてっぺんを通り越して西へと向かう。



さっきまで短かった影が長くなったよ。





8人の背中が並んだパンダの前。



こんな風にパンダを見てると、ああ、いいな〜って思うけど。



僕は生まれ変わったら、パンダにはなりたくないけど、また僕に生まれ変わりたいとも思わなくて。




「晃は生まれ変わったら何になりたい?」



こんな質問しちゃうんだよ。




一呼吸おいて晃は答えた。



「お前らと出会える人でありたい。」



そのお前らの中に僕が含まれていること、僕にとって大事なことだよ。



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