暁天の星
「まあ里香の好きなようにしたらいいけど。」
否定しない。
ってことは心の中でありがとうって言ってくれてるんだよね?
あたしはそれだけで十分なんだよ。
「おい、アホ里香。顔がうるせえ。」
と言いつつ、ハルは突き放したりしないことは分かってる。
安易に誰かを助けたり救おうとしないことも知ってる。
ただ黙って手を差し伸べてくれる、そうでしょ?
その手の力強さを、あたしは知ってるよ。
「お前がリュウから離れられないように、誰かを手に入れたくなる性分なんだよ、人間って。」
「え?」
どこかを見つめながら、ハルは冷たく笑う。
その先に、ハルを包んでくれるものはある?
「そうかな?」
「そう。結局欲しいものは物なんかじゃない。」
確かに正しいとも思う。
でも、ハルの言うことをあたしは上手く飲み込めない。
その寂しそうな顔を、冷めた眼を、あたしは温めることができなくて。
「まあ確かにそうかもしれないけど。」
「そうだろ。」
「でもだからこそ、あたし達は一緒にいるんだよ。理由なんてなくたって構わない。」
「俺は、傷の舐め合いはしたくねえ。」
ほんっとに捻くれてる。