暁天の星
「リュウに甘えっぱなしで、あたしは負んぶに抱っこ状態だよ。」
みんなが車に乗り込んでいるのが遠目に見えた
菫は買ってもらったライオンのぬいぐるみを嬉しそうに抱えている。
颯太とお揃いのぬいぐるみだ。
「まあ、里香は俺にも甘えっぱなしだからなあ。」
オイ。
「ちょっと。ハルにはお姉さんでいるように心掛けてるけど?」
「お姉さん???」
ブハッと笑うハルがまた憎たらしい。
「どこがお姉さんだよ!てめえバカか!」
「ひどくない!?」
「お前は俺からしたら妹だよ。」
「ハルはあたしからしたら弟だけど。」
喉を鳴らして笑うハルを睨んでいたけど、気付いたら一緒に笑っててなんともこの空気感があたし達には大事なものだと再確認した。
「弟だってことは譲らないけど、ハルに負んぶに抱っこだってことは認めてもいいよ。」
「ほう。お前も利口になったな。」
「だからハルにも頼られるようなお姉ちゃんになるね!」
「俺は大丈夫。お前支えるのでいっぱいいっぱいだから。」
「なにそれ!」
「だってそうだろ?」
「いつかハルと離れちゃう時が来たら、ハルはあたしに感謝すると思うけど。」
ハルは目を丸くした。
その目の奥にお前はバカか、という本心が込められているのは馬鹿なあたしでも分かるよ。