新・鉢植右から3番目


 バタン。ドアは閉まった。ヤツは一人、寝室の中へ。

 残された私。ひっさしぶりにキスをした夫から、ひっさしぶりに貰った真実の言葉はこれ。

 ───────面倒臭いことなくて、むしろ良かった。



 ・・・・・・ぐぬううううううおおおおおおおおおおおお~っっっ!!!あのダレダレ男おおお!!!返せ、私の悩みまくって罪悪感に打ちのめされていたこの春から夏を、返せえええええええ~っ!!!

 目の端にうつったクッションをとっつかまえて、両手でボスボスと殴りまくる。だけれどもクッションでは抵抗感のなさに怒りは発散されず、大黒柱に目標をかえてガンガン殴りつけ、拳の痛みにのたうちまわった。

 ぬうおおおおおお~っ!!痛い!痛いわ!色んな意味で全部が痛い~っ!!

「ゆ・・・許せんっ!」

 無表情でキスとかしてんじゃねえ!しかもその後実験完了とばかりにアッサリ去っていくんじゃねえよっ!!

 自分のことは棚にあげて、私は心の中で大いに夫を罵りまくった。顔は真っ赤で、ちょっとばかり悔し涙を流したりもした。

 リビングの床をごろごろと端から端まで転がって、巨大な怒りを発散する。



 大黒柱に五寸釘、打ってやろうかと思いました、マジで。




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