プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

◇◇◇

その夜のことだった。
自室で本を読んでいると、ドアがノックされ顔を上げる。

「はい」と返事をしながら扉を開けると、そこには祐希が立っていた。
仕事から帰って来たその足で来たのか、スーツ姿のままだった。


「おかえりなさい」


私の出迎えに軽く笑みを浮かべて「ただいま帰りました」と答える。
そして持っていた大きめの封筒を私に向かって差し出した。


「……これは?」


受け取るべきか迷っている私に、今度は突き出す。


「セブンスゲートで働く上で必要なものです」


受け取った封筒の中身を覗き見る。
いったいなんだろうかと手を差し込んで取り出してみると、そこからは滑らかな光沢素材の薄いパンフレットのようなものが出てきた。
表書きには“セブンスゲート会社案内”と書かれている。


「それは会社案内です。僕の元で働く以上、最低限のことを勉強してからにしていただかないと困りますから」

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