プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

祐希に指示されたとおり、ベッドサイドに身を潜める。
ドアからは死角になる位置だ。

祐希がドアを開けると、廊下からオレンジの光が部屋の中に広がった。


「もうお休みでいらっしゃいましたか」

「……いえ、ちょっと横になっていただけです。どうかしましたか?」

「日菜子様をお見かけになりませんでしたか? コーヒーをお持ちするとお約束したんですが、お部屋にいらっしゃらなくて」

「こちらには来ていません」


雪さんが落胆する様子が窺えた。


「そうですか……。お休みのところ失礼いたしました」

「いえ。――雪さん」


立ち去ろうとする気配の雪さんを祐希が呼び留める。


「来てくれて助かりました」

「はい?」

「いえ、こちらのことです。では、おやすみなさい」


今度こそドアが閉じられた。

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