プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「ありがとう、祐希」

「ここでは名字でお願いします」


つい呼び捨てでお礼を言った私を祐希がたしなめる。


「ありがとうございました、真壁さん」


言い直すと、やけに満足そうに頷いた。


「そろそろテープカットでーす」


店内にスタッフの声が響く。
機敏な動きで全員が店舗入口に集まった。

お父さんと清美さんは、はさみを持ってテープの前にすでに並んでいる。
そこに涼香さんと、名前の知らない本社スタッフがふたり続いた。


社長であるお父さんにマイクが渡されると、お父さんは緊張の面持ちで口を開いた。


「本日、ここにエンジェルレインを開店する運びとなりました。これもひとえに、お客様をはじめとする皆様方のご支援・ご指導の賜物と存じ上げます。このあとオープンいたします店内では、日ごろの感謝を込めてピンクブルボンというコーヒーを振る舞う予定でございます。商品をお選びになったあとは、一画に設けました休憩スペースでコーヒーをご堪能くださいませ」


挨拶が終わると、近隣の迷惑にならない程度の音楽が流れ始め、司会者の合図でテープがカットされた。いよいよオープンしたのだ。

< 171 / 260 >

この作品をシェア

pagetop