プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「ピンクブルボンが予定より多く手に入ったの。それを小分けにしてみたんだけど、どうかな……」
『なんだそんなもの』と一蹴される可能性はあった。
ほんの少しの緊張が私の背筋を走る。
ところが、祐希の表情はフッと和らいだ。
「日菜子さんにしては、なかなかいいアイディアですね」
祐希の毒舌が復活だ。
彼は目の奥にいたずらな色を滲ませた。
「それじゃ急ぎますよ。あと少しで社長と清美さんのテープカットが始まります」
方向転換した祐希のあとに続いた。
エンジェルレインのお店の前には、開店を待つお客様の列ができていた。
警備員が整列を促している脇を抜け、テープの張られた入口を横目に中へと入る。
右奥には祐希がセッティングしてくれたのか、コーヒーを配布するコーナーが設けられていた。
五十センチ四方の木のテーブルの上には、私が昨日届けたドリップポットがふたつ、カップなどの備品類も並んでいる。
オープンの時間を間近に控えた店内は、緊張の中に高揚感を漂わせる。
涼香さんは、陳列された洋服のチェックに余念がなかった。