プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

◇◇◇

お昼を過ぎたころだった。
コーヒーも順調に減り、お客様の反応も上々。
もちろん、エンジェルレインの洋服の売れ行きも好調みたいだ。

お湯を沸かしてはコーヒーを淹れるという一連の作業の繰り返しが効いてしまったのか、なんだか気分が悪いような気がする。
いや、睡眠不足が災いしているのかもしれない。
そういえば朝食もとっていなかったっけ。
悪条件が重なっている。

それでも気のせいだと思い込ませ、気を紛らわせるためにお湯が沸くまでの間、商品の乱れを直してみたりする。
ところが、目に光の乱反射のようなキラキラが現れ、直感でまずいと思った。


「日菜子様、大丈夫でございますか?」


座り込もうとした直前、腕を取られる。
ゆっくりと目を向けて、錯覚かと思ってしまった。
雪さんがいたのだ。


「……どうしてここに?」

「日菜子様が心配で。顔色が悪いです。ちょっと休んだほうがよろしいですよ」

「でも、コーヒーを淹れなきゃ」


休んでいる暇はない。
足を踏ん張った。

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