プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
身体を起こした祐希の手を咄嗟に掴んだ。
「待って!」
扉の向こうに聞こえないように、小さく叫ぶ。
祐希は私の手を握り返し、「大丈夫ですよ。ちょっと覗いてきます」と言って簡単に服を羽織りベッドを下りた。
心臓が加速度をつけて嫌な音を立てていく。
乱れたシーツをギュッと掴んだ。
祐希はドアスコープを慎重に覗いて、「え?」と声を上げた。
どうしたんだろうかと、さらに不安が押し寄せる。
すると次の瞬間、ドアがトントンと直接ノックされた。
「祐希様、日菜子様、こちらにいらっしゃることはわかっております」
雪さんの声だった。
本当に追手がここまでやってきたのだ。
しかも、雪さんが。
どういう手を使ったのか、雪さんは私たちがここにいることを確実に掴んでいるみたいだった。
祐希がこちらを振り返って、なんとも言えない表情をした。
苦しいような悲しいような。
きっと私も同じような顔をしているだろう。
私たちが抱えるのは、こんなにも苦い恋情なのか。
「ここを開けてくださいませ」