プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
◇◇◇
ホテルの前に横づけされていたのは、牧瀬家の車だった。
ほんの数時間前に私を初顔合わせの場に連れて行った運転手だ。
事情を聞かされているのか知らないが、どうしたって気まずい。
雪さんが助手席、祐希と私が後部座席に乗せられた。
雨を降らせていた雲は遠のき、夕刻間近の空はオレンジがかっていた。
車が静かに発進する。
「ねぇ、雪さん、ひとつ聞いてもいい?」
「はい、なんでございましょうか」
雪さんは、運転席のうしろに座る私に首だけで振り返った。
「私たちがあそこにいるって、どうしてわかったの?」
あとをつけられているようには思えなかった。
しかも、雪さんはあのとき自宅にいたはず。
「実は、警視庁の上層部に古くからの知り合いがおりまして」
今度は警視庁か!
雪さんのコネクションは、いったいどうなっているのだ。