プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「実はこの度、牧瀬日菜子さんとの結婚が決まりました」


えっ……。
まさかの報告に口をぽかんと開けてしまった。

一瞬、水を打ったように静まり返った部署内は、すぐにざわめき始めた。
口に手を当てて驚いている人もいれば、隣の人と顔を見合わせている人もいた。


「それだけをみなさんにお伝えしておきたく。僕たちのことでなにかご質問があるときには、彼女ではなく僕のほうへお願いします。以上です。お時間を取らせてすみませんでした」


祐希は丁寧に頭を下げると、自分のデスクへと戻って行った。

どちらかといったら祐希側ではなく、私もみんなと似たような反応かもしれない。
自分のことなのにビックリしたまま硬直してしまった。


「ちょっと、日菜子さん」


隣の席の美月に呼ばれて我に返る。


「どういうことですか!? やっぱり真壁さんと付き合っていたんですか!?」


彼女の探求心をくすぐってしまったらしい。
美月は目を輝かせて私の言葉を待った。


「付き合っていたわけでは……ないよ」

これは本当だ。

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