プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

「ドンくさいは……ひどすぎるよ……」


息が上がっているせいで、言い返すテンポも悪い。
もう無理だと、綺麗に手入れをされた植込みの脇に腰を下ろした。


「ところで祐希、あの部屋は引き払うんでしょう?」


彼は昨夜から牧瀬家に戻ってきたのだ。
これには私はもとより、清美おばさんが大いに喜んだ。
すでに出来上がっていた夕食だったが、雪さんにお願いして祐希の好物まで作らせるほどに。


「いえ、引き払いませんよ」

「……どうして?」


祐希を見上げる。


「またあっちに戻るの?」


帰って来てくれたと思ったのは、私たち家族の勘違いだったのか。


「いえ、戻りません」


言っていることの意味がさっぱりだ。
戻らないなら必要ないじゃないか。

すると祐希は、意味深な笑みを浮かべた。

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