プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「敬語から呼び捨てにしたときの日菜子の顔が堪らなく好きだから」
不意をついて呼び捨てにされた。
つい頬が緩む。
「ほら、その顔」
その言い方にまでドキッとする。
祐希が私の頬を指先でくすぐった。
「――じゃあ、わざとなの?」
「まあね」
いたずらに笑う。
どんな顔をしているのか自分ではわからないだけに、どこの表情筋を動かして訂正すればいいか迷ってしまう。
「もったいないから、しばらくこのギャップで日菜子を翻弄してやろうかと」
「祐希の意地悪!」
本当にこの人ときたら、私を弄ぶ天才だ。
でも、いろんな顔を見せる祐希にドキドキして、この先ずっとこうして楽しくしていられたら……。
密かな願いを胸に抱いた。
「日菜子のその顔は、一生誰にも見せたくないな。あ、これもプロポーズか」
「え? やだ! もっとちゃんとした場所でちゃんとプロポーズして!」
軽く叩こうと出した手をたやすく捕らえる祐希の手。
そして、そのまま引き寄せられたかと思ったら、唇が重なった。
-END-


