プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔

新店は祐希が担当している“エンジェルレイン”の七店舗目の直営店だ。
お店自体は居抜き物件で、リノベーションもほぼ済んでいるらしい。

美月によると、オフィス街にほど近いところに出店するための商品の選定で、私が就職する直前はかなり忙しくしていたそうだ。
今になって思い返せば、その頃は祐希が夕食時に帰っていないことが多かった。


「それで、雪さんになんの用事だったんですか?」

「あ、うん。お風呂にでも入ろうかと思って。下までひとりで行けないから手を貸してもらおうかなーと」

「準備は?」


パジャマや下着の用意はできている。
ベッドの上を指差した。


「それじゃ行きましょうか」

「え、行くって……?」


突如、祐希は私をいともたやすく抱き上げた。


「ちょ、ちょっと待って!」

「こうする以外にありませんから」


人生初のお姫様だっこだ。
恥ずかしいにもほどがある。
私は行き場を失くした両手を胸の前でグーにした。

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