プライベートレッスン 〜 同居人の甘い素顔
「祐希が足の手当てをしたがったとか、祐希のほうがよかったかとか」
おかげで私は……。
「そんなこと、申し上げましたか?」
とぼけるつもりらしい。
雪さんは笑みを滲ませながら、目を瞬かせて見せた。
「ですが、よくお似合いかと」
「だからね、雪さん、私には“然るべき人”との結婚があるでしょ?」
相手すら決まっていないのだろうけど。
セブンスゲートと牧瀬家を繁栄させていくのに相応しい人。
――清美おばさんのお眼鏡にかなう人。
「日菜子様はそれでよろしいんですか?」
「え? ……いいも悪いも……」
「牧瀬家のように大きな企業のトップに立つお方のご子息たちは、往々にしていわゆる政略結婚をすることが多いことは存じております。ですが、日菜子様がそれで本当にお幸せになれるのか、私はとても不安です」
雪さんは首を小刻みに横に振りながら、膝の上に置いていた私の手を握った。