SaltyTriangle*
「料理、上達したね。」
楓の手元のお弁当を見て、フッと笑みをこぼした。
「あぁ、もう半年作ってるからな。」
「意地張らないで、お父さんに作って貰えばいいのに。」
「絶対やだね。」
入学当初は、私のお母さんが楓の分も作ってたくらいなのに。
あ、もちろんそれが原因で妬み嫉みがあったんだけど。
「今なら少なくともお前よりは上手い。」
「おう、否定しない。」
「しないのかよ、潔いな。」
楓のお母さんは、楓が小学3年生の時に交通事故で亡くなった。
それを機に、私の家の隣に昔からあった空き家に楓がお父さんと引っ越してきた。
空き家だと思ってたその家は、どうやら楓のお父さんのお父さん、つまり楓のおじいさんの家だったらしく、おじいさんが亡くなった時にお父さんが遺産として貰い受けたらしい。
貰い受けた後も、家族3人マイホームってやつで暮らしていたらしいけど。
奥さんが亡くなって、楓のお父さんが何を思ったかは知らない。
だけど、何のためか思い出の詰まったマイホームを捨ててお隣に引っ越してきた。
そんな決断をしたお父さんを、楓はあまりよく思ってないらしい。
前にその話をしてくれた時、楓が言った。
「でも、引っ越してきたおかけで梓に会えたわけだから。プラマイゼロだな。」
そう言われるまでに、楓の中で私の存在が大きくなっていたのが嬉しくて。
あの日のことは、何があっても忘れてあげない。
「じゃ、教室戻るわ!お墓まいり、気をつけて行ってきてね。」
お弁当を食べ終えて、カタンと小さな音を立てて席を立つ。
「あぁ、雑用ちゃんとやれよ。」
楓は少し小馬鹿にしたように言うけど、ちょっと寂しいとか思ってたりしてね。
「来年は一緒に行くから、落ち込むな!」
いたずらに笑って楓の頭をグシャグシャにした。
そんな私の手を軽くはらって、座ったまま私を見上げる楓。
「子供扱いしてんじゃねーよ、同い年だろ。」
こうして、すっかりイケメンに成長してしまった楓を見ると、小学生時代を知ってる身としては感慨深い。
ま、小学生の頃から他よりズバ抜けて整っていたけど。
あの可愛らしい顔がこんなに男らしくなるとは……
成長したなぁ、楓も、私も。