歩む
歩む
 俺は暗闇の中をずっと歩いている。

歩いても、歩いても光は見えてこない。

それでもいつか光が見えてくることを信じて歩き続けてきた。

何度転んだか知れない。何度つまづいたか知れない。

時々歩くのが辛くて、歩くことそのものをやめたくなることがある。

一向に光の見えてこないことに対して絶望し、希望を見い出すことができず自分が何の為に歩き続けているのか分からなくなる時がある。

それでも歩くことをやめる勇気すら持てず、俺はずっと何かに歩かされ続けてきた。





 "出口のないトンネルはない"と誰かが言っていた。

たしかにそうかもしれない。でも、いつになったらその出口は見えてくるのだろうか。

暗闇で自分が進んでいるのかどうかも分からなかった。自分がどこに向かっているのか、どこへ行きたいのかさえも。

この先10年、20年も歩き続ける自信を俺は持てずにいた。

周りからは根拠のない綺麗事や、分かりきったような正論ばかりを聞かされ続けた。もうそんなことは耳にタコだ。





 どんなに暗い夜にも必ず朝は訪れる。たとえ望んでいなくても。

そんな無限ループのようなサイクルの中、俺はただただ流され続けてきた。

そこには喜びも楽しさもなかった。あったのは自分に対する嫌悪感と、劣等感、そして不安と絶望だけだった。



それでも俺は歩き続けるしかなかった。

それしか自分の中に選択肢がなかったからだ。

いや、他に選択肢はあるのかもしれない。でも、俺はその選択肢しか選ぶことができなかった。

俺という人間はどこまでいってもつくづく小心者なのだ。





 今の自分があるのは過去の自分の積み重ね。

今まで歩み続けてきた結果が今の自分の姿なのだ。

そう考えると全ては自業自得。誰が悪いわけでもない。自分が悪いのだ。

かといって、今から過去を悔やんだとしても過去は変えることはできない。

でも、未来は変えることができる。それも全ては今の自分の積み重ね。

今は過去となり、そして未来は今となる。



時間は有限だ。

少しずつこぼれ落ちていく砂時計のように確実に時間はなくなっていく。

その限られた時間を使って自分がどう歩むか。それによって未来は決まる。





 歩くことに疲れたら立ち止まってみるのもいいかもしれない。

時間の使い方なんて人それぞれだ。

立ち止まって、少し休憩する時間だって時には必要なこともある。

長時間歩き続けるのはしんどいものだ。



歩く方向を見定め、一歩一歩着実に歩んでいきたい。

そして疲れたら休み、また歩き出す。

ゆっくり、ゆっくり。しかし着実に。





 辛い時は辛いと言おう。泣きたい時は我慢せずに泣こう。

そしていつの日か光が見えてきたその時は目一杯喜び、思いっきり笑ってやろう。

光が見えるその時までもう少し歩いてみようと思う。

今は少しだけだけどそう思うことができる。

希望はまだここにある。
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