嘘つき天使へ、愛をこめて


「でも、そうはいかない。もう手遅れだよ」

「は?」

「見れば分かるでしょ。仮にサリが攫われでもしたら、今サリのことを心配してるこのメンバーが黙ってないと思うけど」


あたしははっとして、振り返る。


玲汰、唯織、櫂、柊真。

馬鹿みたいに人が良いみんなが、まるで族の幹部とは思えないほどの柔らかい目付きであたしを見ていた。


「まー、そりゃそうだよね。俺らサリちゃんのこと好きだし!」

「……サリは、もう、仲間と同じ」


「唯織、玲汰……」


なんでそんなことを、言ってくれるの。


「まあでも、誰よりも先に助けに飛んでいくのは雅だろうけどな」

「ああ、俺もそう思うよ」


櫂の言葉に、柊真が頷く。

雅を見つめると、雅は困ったなとでも言いたげに立ち上がった。
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