嘘つき天使へ、愛をこめて
姫になんてなってしまったら、消えられなくなってしまうから。
あたしと胡蝶蘭の皆の間には、決定的な越えられない壁を作っておかないといけないのだ。
……そう、いずれ消えるあたしが仲間になるのは許されないこと。
本当はこうして直に関わることだって、避けなければならなかった。
「まあ、そうだね。サリが望むなら」
「ええ!?総長いいの!?」
「いいよ。そんな名目上のこと、どうにでもなる。サリはただの居候だってことにしておけばいい」
安直だな、と思いつつ、あたしは毅然と雅を見つめた。
雅もあたしを見つめてくる。
これはきっと、取り引き成立の合図だろう。
ほう、と諦めの息を吐いて、あたしは毒気を抜かれたように笑った。
「――じゃあよろしく、総長さん」