嘘つき天使へ、愛をこめて


「サリちゃん?」

「え、あ、えっと」


ぼうっと考えていたら、手が止まっていたらしい。

慌てて、泡のついた食器を流す。


「柊真、あたし……スープが好き。出来れば毎食食べたいくらい、スープが好き」


固形物よりも飲み込みやすいし、お腹には溜まるから良いよね。


柊真はふむ、と頷いて、また一枚食器をしまう。


「スープならあいつらも好きだな。よし、じゃあこれからは日替わりで作ることにするか」

「えー?なになにスープ?」


ソファでテレビを見ていた唯織が食いついてくる。


俺はコンソメ系が好き!だとか、櫂はああ見えてポタージュの方が好きなんだよなあ、とか、ひとりで喋り始めるのはいつもの事だ。


唯織は玲汰とは真反対で、喋っていない時の方が少ない。
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