嘘つき天使へ、愛をこめて
「……好きになんて、なれないよ。なっちゃいけないんだよ。だって――」
その人は、雅は、あたしに向かって一直線に走ってくる。
大切なみんなは、あたしと雅を守るように残りの男たちへ殴りかかっていく。
「だってあたし、死んじゃうんだよ」
全身の力が抜けた。
安心したのか、それともただ単に限界がきたのか、意識が深い深い闇の底へ引きずり込まれていく。
そのさなかで、あたしはもう二度と目を覚まさないのではないか、とどこかで思った。
このままどこへ行くんだろう。
あたしは、なにを隠し続けてきたんだろう。
意地?プライド?
ううん、違う。そんなものじゃない。
弱さだ。これは、あたしの弱さ。
ねえ、もしあと数年出逢うのが早かったら、あたしは君を好きになっても良かったのかな。
ねえ、もし君があたしの嘘を許してくれるのなら一つだけ聞いてほしいことがあるんだ。
細く長い腕に抱きとめられ、あたしの意識は一瞬だけ浮上した。
顔の上で、涙さえ零しながら、あたしの名前を呼ぶ。必死に、必死に。
この世に繋ぎとめようとするように。
霞む視界の中で、あたしは何だかおかしくなって笑った。
笑えたかどうか分からないけれど、それでも雅ははっとしたような顔をして、あたしの頬を手で包み込んだ。
そして、不意に唇が重なった。
感触すらもうよく分からなかった。
けれど、雅の想いはとめどなく伝わってきて、あたしの瞳から涙が溢れ出る。