嘘つき天使へ、愛をこめて
サリは手術を受けないと言ったそうだ。
経済的な面で、とても両親のいないサリが払えるような額ではなかったから。
手術代、入院代、抗がん剤治療代、それらはどんどん積まれて莫大な金額になる。
そんなお金を、他人である大翔さんに払わすわけにはいかない。
手術をしても完治すると約束されたわけではないし、大翔さんのことも忘れてしまうかもしれない。
再発だってするかもしれない。
そんなのあたしは嫌だから、とサリはハッキリと言い切ったらしい。
けれど、諦めきれなかった大翔さんは、一時サリを胡蝶蘭の元へと送り、その期間必死に働いてお金を稼いだ。
もちろん、足りる額じゃない。
それでも何かしない訳にはいかなかった。
咲妃さんと同じ道を辿らせるなんて、とても大翔さんには出来なかった。
俺はその話を聞いて、なんて馬鹿だったんだろうとしか思えなかった。
自分自身に。
サリがそんな重いものを背負っているだなんて知らずに、大翔さんがこれだけの苦難を強いられていることを知らずに。
……でも、だからといって、今の俺に何が出来るだろう。
それを知って、俺はサリを愛せるか。
いや、愛せる。そこはもう譲らない。
けれど、サリはどうだ?