嘘つき天使へ、愛をこめて
サリは、俺と目が合った直後に倒れた。
受け止めたその身体は、まるで氷のように冷たくて。
俺はサリに口付けた。
サリは笑った。
そして、か細い声で『すき』と言った。
もう、細かいことなど思い出せない。
俺に残っている記憶はそれだけで、その後どうやってあの倉庫から病院へサリを運んで、緊急手術となったのか覚えていない。
ただ大翔さんは、話してくれた。
サリが脳に爆弾を抱えていること。
それは亡くなった母親の咲妃さんと同じものだということ。
ただし、サリの場合はぎりぎり手術が可能かもしれないということ。
その場合、高い確率で記憶障害や後遺症が残る可能性があるということ。
……もし手術を受けなかった場合、サリの命は残り一ヶ月だろう、ということも。
どれもとてもその場で受け止めきれるようなことではなくて、俺と一緒に聞いていた柊真や櫂でさえ、言葉を失った。