嘘つき天使へ、愛をこめて


敵わねえな、と思う。


俺はこいつらに一生敵わない。

でも、こいつらだからこそ俺はいつでも背中を任せて、総長としてやってこれたのだ。


「家族は救いあいだ。俺たちも働く」

「俺ねー、結構接客業得意なんだよね。コンビニ定員とかどう?最近結構時給高いしさ、れいたん一緒にやらない?」

「……俺は、内職……」

「内職?れいたん内職するの?」


柊真が、唯織が、玲汰が、櫂が、サリを見つめる。

まるで天使のように眠ったままの姫の姿。


「お前ら成長したな」


黙っていた大翔さんが、ぽつりと呟く。

その目には何故か涙が浮かんでいて、俺たちは狼狽えた。


「みんな強くなった。それぞれにな。俺は誇らしいよ、お前らみたいな後輩を持てて」

「……それもこれも、大翔さんが胡蝶蘭を創ってくれたからです」

「一代目の俺から、二代目の清水を経て、三代目の雅。早いもんだろ、時の流れは。もちろん、後悔することも数え切れねえほどあったけどな」


大翔さんは窓を開けると、冷たい冬の風に「さみぃな」と身体を震わせた。


そりゃあそうだ。もう十二月。

冬も本格的になりはじめる。


すぐに窓を閉めた大翔さんは、ほう、と白い息を吐き出して。


「……俺もあの時、咲妃の手を離さなかったら、違ってたのかもしれねえな」


どこか遠くの方を見つめながら、大翔さんは切なげな声を落とした。
< 191 / 225 >

この作品をシェア

pagetop