嘘つき天使へ、愛をこめて
敵わねえな、と思う。
俺はこいつらに一生敵わない。
でも、こいつらだからこそ俺はいつでも背中を任せて、総長としてやってこれたのだ。
「家族は救いあいだ。俺たちも働く」
「俺ねー、結構接客業得意なんだよね。コンビニ定員とかどう?最近結構時給高いしさ、れいたん一緒にやらない?」
「……俺は、内職……」
「内職?れいたん内職するの?」
柊真が、唯織が、玲汰が、櫂が、サリを見つめる。
まるで天使のように眠ったままの姫の姿。
「お前ら成長したな」
黙っていた大翔さんが、ぽつりと呟く。
その目には何故か涙が浮かんでいて、俺たちは狼狽えた。
「みんな強くなった。それぞれにな。俺は誇らしいよ、お前らみたいな後輩を持てて」
「……それもこれも、大翔さんが胡蝶蘭を創ってくれたからです」
「一代目の俺から、二代目の清水を経て、三代目の雅。早いもんだろ、時の流れは。もちろん、後悔することも数え切れねえほどあったけどな」
大翔さんは窓を開けると、冷たい冬の風に「さみぃな」と身体を震わせた。
そりゃあそうだ。もう十二月。
冬も本格的になりはじめる。
すぐに窓を閉めた大翔さんは、ほう、と白い息を吐き出して。
「……俺もあの時、咲妃の手を離さなかったら、違ってたのかもしれねえな」
どこか遠くの方を見つめながら、大翔さんは切なげな声を落とした。