嘘つき天使へ、愛をこめて
生憎、時間をかけている余裕はない。
胡蝶蘭のスタンスは〝売られた喧嘩は買う〟なのだから、とりあえずはこちらから喧嘩を売らなければどうにかなるだろう。
そんなあたしらしくもない楽観的な考えもあるし、たとえ暴力沙汰になったとしても、あたしはきっと負けないからなにも問題ない。
それに……思っていたよりずっと制服が可愛かったというのも、少なからず、ある。
あたしだって一応、思春期の女の子だ。
今までおしゃれとかメイクをまともにしたことがないから、この制服を見たときはほんの少しだけはしゃいでしまった。
きっと大翔はそれも見越して、ここに通えと言ってくれたんだろうなと思うと、余計に嬉しかった。
膝上の青チェックのスカート、それだけでも可愛いのに裾には小さな黒フリルまでついている。
薄い青がかったカッターシャツの上には、防寒用に白いカーディガンを重ねた。
ブレザーには校章がプリントされたエンブレム。
スカートと同じ柄のリボンも軽くフリルがあしらってあるなど、細部までこだわっていながら、全体的にそこまでハデじゃないのも魅力的。