嘘つき天使へ、愛をこめて
教室の一番後ろ、窓際周辺。
その一角だけ、オーラが明らかに違う。
一見ほかの生徒らよりも見た目の派手さは落ち着いているけれど、その落ち着きが逆に気味が悪い。
きっとあそこは階位の高い人の集まり。
大体は見ればわかる。
落ち着いていると見せかけて。
ハデなバカだと思わせて……そういうの多いもの。
それからオーラもね。
大抵の人は隠し切れていないから。
特に闇が深い人のオーラっていうのは、同類のあたしにはすぐに分かる。
先生もそう。
陰はあたしの前では隠せない。
「雫井サリ。よろしくお願いします」
そう言ってにこりと口角を上げれば、教室の半数の男子が顔を背け、ばっと噴き出すものを抑えるように手で鼻を覆った。
その中でやはり、あたしが階位の高い人達だと見定めた周辺は、どこか警戒したようにこちらを眺めていた。
嫌な吐き気がして、思わず眉間にシワが寄りそうになる。
それをぐっとこらえ、こくり、唾をのみこんだ。
まるで商品にでもなったみたいだな、なんて思いながらあたしは先生を見上げ、次の指示を促す。