嘘つき天使へ、愛をこめて


「ねえ、総長さん」


「月岡雅。族外から総長って呼ばれんのは好きじゃないから雅って呼んで」



……この人の本性も全くわからないし。


深い溜息をついて、あたしはメンバーの顔をひとりひとり順に見ていく。


憶えていられる自信はないけれど、意地でもこの人達は憶えていないといけない気がしたから。


どうしてか寝ていたはずの玲汰も、相変わらず首をかくんかくんさせながら、雅の後ろに立っていた。



「月岡雅、羽間唯織、忍崎玲汰、新嶋櫂……後、なんて名前だっけ」



順に見ていくと、ツンツン頭の男で目が止まる。


そうだ、この人だけ名前知らなかった。



「そういや柊真(トウマ)だけ紹介してなかった。コイツは河神柊真。フツーに柊真って呼んでやって。俺ら幹部の……っていうより、族の母ちゃん的存在」



すかさず出てきた唯織の説明に、思わず眉根が寄る。


この人たちが幹部とかいうことに今更驚きはしないけれど、母ちゃん的存在?



え、性別変わってるけど?


……どういう意味?



「母ちゃんって……」


「ま、サリちゃんもそのうち分かるよ」


「俺は母ちゃんじゃねえ!」



あたしの怪訝な視線に、うっとたじろいで思いっきり顔を逸らした柊真。

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