ポイントカードはお持ちですか?


断ろうと思っていたのに、別の可能性を示されて戸惑う。

「ただし、結婚する以上はそれなりの覚悟を持っていただきます。どんな理由があっても彼の元には戻らない。そういう覚悟をしてきてください」

覚悟、と言われるとドキリとするけど、当たり前のことだ。
だって夫婦になるのだから。

「心に想う人がいても構わない」それだけで十分以上に譲歩してもらっているくらいなのだ。

「そうですね。・・・ちょうどいい季節なのであえて来月24日に約束しましょう。その日までにどうするかよく考えて、お返事をください。もし受けていただけるのなら、24日はまたここで食事をしましょう」

12月24日、クリスマスイブ。

あと一月ほどで私は伊月君を忘れる覚悟を決められるのだろうか。

「わかりました。よく考えて、ご連絡します」


もし私が富樫さんと結婚したら、記念日にはこの店にくるのだろう。
富樫さんならさりげなくブーケなんか用意してくれそうだ。
一緒にお料理とワインを選んで、「おいしかったね」と笑顔で帰る。

そんな姿が簡単に想像できた。

だけどそれはどこか第三者から見たような光景で、あの女子アナウンサーの結婚を想像するのと何ら変わらない。

それが私の未来なのだろうか。




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